ふと思い立って日本一周をまた試みてしまった。せっかくだから全都道府県一筆書でもしてみよう。そんな旅路の7日目。
※この投稿は以下の投稿の続きです。一筆書になってないように思えますがday5とday6、そしてday1でルールに触れているので、合わせて読んでおくといいかもしれません。もちろん全部読んでしまうのも手です。
魂抜けて
一筆書魂を佐賀県の伊万里駅に置いてきたまま、長崎県の松浦で目を覚ます。今日は伊万里まで戻って一筆書魂を回収し、再度長崎県を通過する予定だ。だが、伊万里に戻る前にやることがある。
松浦駅から徒歩15分~20分程度のところにある道の駅、海のふるさと館だ。ここにある、とあるモニュメントを見るのが目的である。
確か、ぼくが松浦に訪れたとき以降に設置されたものである。アジフライを持ち上げる箸まで作られていて素晴らしい。
松浦駅に戻る。松浦駅の入り口(これを入り口と言っていいものか悩むが)にもアジフライ関係のモニュメントがあった。これは降りるときには気付かない。入り口入ってすぐの踏切を渡り、松浦駅エリアから離れることにする。
松浦駅から2駅。前浜駅の近く(駅前ではない)に恐らく唯一の、松浦アジフライを取り扱うコンビニエンスストアがある。
(ファミチキ下さい)と脳内で注文するのが日常的なので、少し躊躇して「アジフライください」と店員さんに言ってみる。「そちらからご自分で取って頂いて……」と返事が返ってきた。ホットスナックの棚から好きな形のアジフライを漁獲する。
98円。とんでもなく安い。普通のホットスナック よりも一回り安いと言って良さそうだ。おいしく揚がっていた。
予定では市場にある食堂でアジフライ定食を食べるはずだったが仕方ない。胃に入るはずだった追加のアジフライのための空洞を抱えながら、改めて伊万里に戻ることにする。
魂入って
さて、伊万里駅で一筆書魂を回収して再度出発する。松浦鉄道に乗り、有田まで。
アジフライが食べられなかったからそれで幻覚でも見ているのだろうか。車内がアジフライに満たされている。これは幸せな空間と言うべきか、過酷な空間と言うべきか。
実はこの車両、ぼくが松浦を訪れた以降に運行を開始したもので、念願叶って乗れたという形だ。
細かいことは省くが、調べずにこれに乗れる確率は大体1/2で、乗れなくても30分程度待てばこれに乗れる、というのが電話で問い合わせた人の見解だ。駅の窓口でいつどこを走っているか聞いたら、電話で別の課に聞いてくれと言われたので結果としてそういうことが判明したとのことである。
というか、乗る可能性のある時間を聞かれたので答えたらドンピシャの時間を教えてくれた。
アジフライに乗って、有田に到着する。ここから再度JRでの移動だ。隣の駅からはいよいよ長崎県に突入する。
旅先でカレーを食べると何かが起きる(day5参照)
わけあってコイツを5分で食べないといけなくなった。
有田駅からわずか2駅の早岐(はいき)駅で乗り換え待ちが50分程度発生した。既に長崎県に突入している。時間は丁度お昼どき。ここで昼食を採るのが一番効率的だ。
しかし、駅から出たものの土地勘がないのでどこで昼を食べたものか見当もつかない。片方の出口に出て見渡してみるも飲食店は見付けにくそうだった。インターネットで少し調べてみると、反対側の出口から少し行ったところにはラーメン屋があることが分かったのでそこに行ってみることにした。
店の前には10人以上の行列ができている。これは時間内に食べて出るのは無理だろうと思ったので、また軽くインターネットで調べてみる。チェーン店が固まっているエリアがあるらしい。どこかには入れるだろうとたかをくくりぼくはそちらに歩いていった。
リンガーハットがあった。折角長崎に入ったのだし名物のちゃんぽんというのもいいだろう。地元の人はチェーン店ではなく、めいめいの行き付けのちゃんぽん店(みんな車で行くのだ)があるに違いないからきっと空いているはずだ。
店に近付くと、順番を待っているとおぼしき人たちが外まで溢れていた。チェーン店に行かないのではなく、チェーン店にもチェーン以外店にもこぞって行くくらい長崎県民はちゃんぽんが好きということなのだろう。
おせちに飽きたから、家族でちゃんぽんでも食べに行こう、そんな家族ごとの団らんストーリーが浮かぶ。
そんなわけでこんなときはカレー、カレーは全てを解決する……! とばかりに別にここで食べなくてもいいのにすぐ近くのCoCo壱番屋に入店したのである。
朝、魚市場でアジフライを食べ損ねていたのが良くなかった。揚げ物を食べたくなってしまったのだ。しかも手仕込み豚カツといえば「少々お時間を頂く」系のメニューである。注文したのは退店推奨時間まで残り20分を切るかどうかのタイミングであった。判断力が完全に鈍っている。
結果、カレーが提供されたのは余裕を持って駅に戻るためには5分で食べ終える必要のある時間だった。お店は一切悪くない。ぼくは急いで食べるのは余り好きではないが、観念してスプーンを振り回す。
ぼくは食べ物を残すのも好きではない。いつもニコニコ完食退店だ(麺類のスープは時と場合による)。だが、いよいよとなれば食べ残して退店しなければならない。流石に列車を1本見送るのだけは避けたいからだ。
反応反射音速高速……もっと早く、もっと早く! 舞えよスプーン、顎よ踊り続けろ……! 向こう側の景色(皿)が見えてきた……! 正直豚カツがなければカレーは飲み物なのでもっと早くいけただろう。
結果、7分で完食。嫌な目安を作ってしまった。顎が痛い。急いで会計を済ませて店を出る。
5分で食べなければならないところを7分で食べたのだからあとは小走りで駅に戻るだけだ。ホームにたどり着いたのは、列車が発車する2分前のことであった。
ところで、CoCo壱番屋で会計時にとあるものを貰った。今年の卓上カレンダーである。今回は最終的に予定を狂わせるような失敗に至らなかったが、こんなことばかりしていたらいつか大失敗するに違いない。家に帰ったら戒めの意味を込めてこの卓上カレンダーを使おうと思う。
長崎県
早岐駅のすぐ隣、ハウステンボス駅を越えて走る列車は海沿いを走ることが多い。大村湾を望む良い景色だ。地図を見ると、大村湾は長崎県の中央に位置する大きな湖のようにも見える。長崎県にとっての大村湾は滋賀県にとっての琵琶湖のようなものなのかもしれない。
諫早から島原鉄道に乗って長崎県をどんどん南下していく。途中から列車は島原湾を横目に進み、やがて雲仙を背にする島原港に到着する。そこからは船に乗って熊本へ。
カモメだろうか。鳥の大群が船についてきた。回りの乗客を見ると、かっぱえびせんの袋を持っている。そして袋からえびせんを取り出し、推定カモメにそれを与え始めた。推定カモメは器用に差し出されたえびせんだけをつまんで、飛びさる。デッキには子どもたちのはしゃぎ声と推定カモメの鳴き声が響いていた。
面白そうだったので、ぼくも船内の売店でかっぱえびせん(150円)を買った。
まずは船の外にえびせんを放り出してみる。群の中にいる目ざといやつが見事にキャッチして飛んで行く。
手からも与えてみる。推定カモメが咥えたところを見計らって手を放すとえびせんを咥えたまま飛び去っていった。
それにしてもこの推定カモメたちは本当にえびせんが好きなようでまっしぐらにえびせんに突っ込んでくる。まっしぐらに飛び込んでくるので、酷いときはに3羽がえびせんを巡って空中で衝突していた。
こんなに近くで推定カモメ(に限らず鳥類)の羽ばたいている姿を見ることができるスポットは珍しいように思う。えびせん給餌体験込みでおすすめの移動方法だ。ただし、カモメが訪れるのは冬の期間だけらしい。
かっぱえびせんをカモメに与えていたら、いつの間にか熊本港に到着する時間になってしまっていた。カモメも熊本までついてきていた。
乗船時間は約60分。別の会社の船便だと30分なので、ゆっくり餌をやりたいならば60分の方が良さそうだし、30分のほうは早く着く。どちらに乗るかはお好みで。
熊本県
熊本駅に着いたのは18時くらいだったが、これ以上進むと宿泊関係が危なくなるのでここでストップすることにした。
夕飯を食べ、市電に乗り、繁華街を歩いた。手相を見る人がアーケードの隅の方にいたので見てもらったりする。ああ、観光をしている。
先に進むルート上にある駅に、24時間営業をしている温泉施設があると判明したので、今日の宿はここにした。
泊まれることと温泉であることしか気にしていなかったので、浴場の中に入ってみて面食らった。細かいレビューは恐らくサウナ系のメディアがつぶさにしてくれているはずなので省くが、とんでもなく良い施設だった。
どこかで読んだことを思い出す。サウナ好きな人はここに遠征してくるほどだと。遠征してまで通いたくなるのも納得である。ここを基準にしてしまうと、恋しくなって何度でも来てしまうのだろう。ぼくがアジフライを求めて松浦に行くように。
まとめ
今日は2県通過。昨日までで23府県通って、今日で25府県に。数の上では折り返しだ。日数的にも、今日が7日目なので折り返し。一筆書失敗にならないよう注意しつつ、気を引き締めすぎずの精神で取り組んでいきたい。ただ、事故というのは慣れた頃に発生するものである。やはり少しだけ気を引き締めて明日以降進むことにしよう。
このページをかいたひと:藤盛仁輔
ライター。このサイトでは半年で日本二周したときに訪れた場所についてなどをかいています。