全都道府県一筆書き day13 (北海道)新潟長野群馬東京 20220109

ふと思い立って日本一周をまた試みてしまった。せっかくだから全都道府県一筆書でもしてみよう。そんな旅路の13日目。線路は続くよ、どこまでも、というのは幻想と思い知った日。

※この投稿は以下の投稿の続きです。ただし、day12はやっていることが相当異色なのでday11あたりを読むとやっていることの雰囲気が掴めるかもしれません。

ここは何県なのか

新日本海フェリーの「あざれあ」船中で目を覚まし、ネットが使えるかぼんやりした頭で確認していたときのことだ(ネット云々についてはday12参照)。共用スペースで流しっぱなしになっているテレビを見ると山形県のCMが流れていた。

どうやら、近くの県から飛んで来るテレビの電波を拾っているらしい、ということと今船は山形県沖にいる、ということを同時に察する。山形県沖は最早山形県ではないのか、一筆書失敗ではないのかという疑問が頭をもたげてきたが、ルール上は海路空路は(途中で寄港やトランジットがなければ)長い県境を通っている扱いなのでここは山形県ではない、いいね?

950円の洋食セット。結構なお値段だけれどプレートに色々乗っていて良い。

何故ネットを気にしているかというと、船が到着したあとどんな風に乗り継いで行ったらいいのか全く調べていなかったからである。結局、ああでもない、こうでもないと調べ、朝食を食べ終えても今一つ今日どこまで行くのかを含めて決まらなかった。

というのも、あと1回だけ青春18きっぷが使えるため、それを今日使うのか明日使うのか決めあぐねていたからである。しかも、新幹線や特急を使いたければ使っても良い(特に縛りはない)ので選択の自由度が高いのだ。

こういうときは捏ねて捏ねて捏ねて、ダメならとりあえず早く移動する、にしておけば後でなんとかなるものなのだ。とりあえず、丘に上がって駅に行くまで捏ね続けることにした。

新潟県(新潟駅)

バス停近くの案内看板。

という訳で新潟県から本州に上陸した。この旅を企図するまで、実は恥ずかしながら北海道~新潟のフェリーが存在することを知らなかった。しかし、地元の人はこういう看板を見て育っているのでそういう航路があることは「当然」なのだろうなと思う。

どうでもいいことではあるが、ここまで、自分の乗っているフェリーに関して、小樽を出発したことは書いているが新潟に到着するとはあえて書いていなかった。知っている人なら「ああ、新潟に上陸するんだね」と思うだろうし、知らない人なら「ルート的には新潟に上陸するっぽいけどそんなフェリーあるのかな……」と思うだろう。

「そんなフェリーあるのかな……」と思って貰えばしめたもので、この航路のことが頭に残るし、下手をすると確かめるためにちょっとネットで検索してしまうかもしれない。ここまで来てしまったら、「こちら側」である。ただ、自分が「こちら側」を名乗っていいのか甚だ疑問ではあるが。

さておき、フェリーのターミナルに到着するかしないかのタイミングで、ネットの乗り換え案内を駆使した結果、今日のルート取りが決まった。自動的に明日のルートも決まる。出してみればどうしてこんな単純なルートが出てこなかったのだという代物ではあるが、目的地まで常に真っ直ぐ進める訳ではないのでそういうこともある。割と「そういうこと」ばかりではあったが……。

知ってる、これ、「①工事中に遺構が発掘されて工事が止まっちゃうやつ」「②宇宙から飛来した箱が埋まっててアンドロイドが出てくるやつ」「③お札で厳重に封印された箱が出て来て作業員の不注意で箱が開いてしまい……ってやつ」だ! (お好きなルートをお選びください)

港からバスにのって新潟駅へ。新潟駅はこれから天守閣でも立てるのかってくらい稀代の大工事中だった。案内通りに歩いたはずなのだけれど、ぐるーーーっと回り込んで改札にたどり着く。これを日常的にやるのはなかなか面倒そう。

新潟県(長岡駅)

長岡駅で乗り換え待ちが40分弱発生した。時間はちょうどお昼どき。こういうレベルの待ち時間でカレーを食べるのは危険なので(day7参照)他のメニューを探した。

回転寿司とは書いていない

ネットで見た感じだと回転寿司があるようだ。寿司は元々ファストフードだと言うし、混んでいれば別を探せば良い。

回転寿司ではなかった のどぐろの寿司3つ360円(税別)とお手頃

ネットで写真を見て皿が回転寿司風だったので勘違いしてしまっていたが、「回転」寿司ではなかった。そこにあるのは回転寿司の特急レーンと呼ばれるものだけ。鮮度やロスを考えて結局回転寿司に回転レーンは必要ない、と踏み切ったのかもしれない。回転レーンがないこと以外は、熱湯の出る手洗い場も含めた全ての要素が回転寿司だった。AI判定をしても、このお店は95%回転寿司であるという結果が返ってくるだろう。

握り10個分くらいを食べて、ゆっくりと駅に向かう。時間に余裕もあって満足いくだけ食べられたので、やはり回転寿司はちょっとした乗り換え待ちに最適だ。ただ、駅前のサクっと入れる場所にある回転寿司なんてそうそうないと思うが。

新潟県(直江津駅~上越妙高駅~妙高高原駅)

恋の呪文はエチトキメキの鉄

直江津駅でJRから、えちごトキめき鉄道はねうまラインに乗り換える。乗り換え時間は1分。同じホームの反対側なので十分間に合うが、ヒヤヒヤする。直江津駅から数駅で新幹線も通っている上越妙高に到着。多くの人が降りていった。恐らく、新幹線に乗り換えるのだろう。

越乃Shu*Kuraは地酒が飲める観光列車。いつか乗りたい。

停車時間が20分弱あったのでぼくもいったん降りてみた。外の空気を吸って戻り、一息ついたくらいで、列車は出発する。

ここまではほぼ海沿いルートだったが、ここからは山登りルート。途中の駅でスイッチバックしたりしながら、列車は進む。

こまめに積もったとおぼしき雪は高さを増していくようだ

はねうまラインは妙高高原駅で終着。この駅を越えたら長野県だ。ここからはしなの鉄道北しなの線に乗り換えて長野駅に向かう。

長野県

新潟県を出て40分程度で長野駅に到着する。長野駅からは新幹線にも特急にも、何でも乗れる。

飛ばされる駅はない……ってコト!?

せっかくだからぼくはこの黄色い普通列車を選んだ。こんな色の列車、初めて見た。

新駅舎
列車を降りたときにはまだ売っていたのだが駅の周りを見ている間に売り切れてしまった。無念である。

長野駅から篠ノ井まで信越本線、篠ノ井から先はしなの鉄道に乗り、1時間30分で軽井沢駅に到着した。乗り換えが必要そうに見えるが、長野駅からは乗り換えていない。いわゆる直通運転をしているので何も考えずに来られた。

軽井沢は群馬県との県境にあたる駅だ。ここから群馬県に鉄道で抜けるには、新幹線を使う必要がある。

かつては、新幹線ではなく信越本線が走っていたが新幹線の開通に併せて軽井沢~横川(群馬県)の区間は廃止されてしまった。では、新幹線でしか長野県から群馬県に抜けることはできないのだろうか。

群馬県(~髙崎)

軽井沢駅から出るバス。予約はできない上、定員を越えると乗車できない

軽井沢駅からバスに乗り、横川駅に向かう。廃止された軽井沢~横川を走っていた信越本線の代わりになる交通手段だ。バスはくねくねとカーブする道を通りながら峠を越え、40分弱で横川駅に到着した。

群馬県は「信」でも「越」でもないが信越線が走る

ちょうどよく鉄道との乗り継ぎができるようになっているようで、駅に着いて大した待ち時間もなく列車は出発した。この列車は信越線の終着駅(始発駅)の高崎駅に30分程度で到着する。

新潟~長野~髙崎まとめ

軽井沢から髙崎に出るまでにやや特殊な手段を利用したが、仮に新幹線に乗ってしまうとたったの15~20分、あっと言う間の時間しかかからない。峠の釜めしすら食べ切るのはできないとは言えないがちょっと大変だろう。

一方、バスに乗って横川駅を経由していけば、髙崎までのんびり峠の釜めしを食べながら行ける(バスの中で食べるのはやめておいた方がいい)。……はずだったのだが……。どうせ後で食べるものなのだから見かけた瞬間に買っておくべきだった。

話が少し逸れた。

実は今日通った新潟~長野~髙崎のルートは、言ってみれば「旧信越本線」ルートである。昔は、ここが一つの信越本線だった。今は新幹線の開通等々の理由で途中が第三セクター路線になったり廃止になったお陰で、信越本線に3回、第三セクター路線に3回、バスに1回乗ることになる。ほとんど改札を出ず、直通運転もしているのでこれはやや変な感覚だ。

新潟からは篠ノ井~軽井沢間のきっぷは買えない。

だが、結局は旧信越本線を駆け抜けたという意味で理屈の上では単純なルートだった。新潟から髙崎に抜けるまで、最速乗り換えでも9時間はかかったが。

ちなみに、新幹線に乗ってしまえばもっと単純ではあるが、長野を経由したい場合直通の新幹線はないのでそれでも4時間はかかる。こちらのルートはこちらのルートで信越本線の「正統後継」ではある。

ただ、長野を経由せずに新潟から髙崎まで新幹線で行くだけであれば1時間ちょっとしかかからないのでどちらのルートとも贅沢なことには違いない。

改めて書き出してみると、全都道府県一筆書が如何に無駄な行為なのかがつまびらかになってしまう。長野で乗り換えるとき、乗車前にそばの一杯でも食べていれば良かったのだが、それをする時間もなかったので本当に何のために長野を経由したのか分からない。だが、それはそれ、これはこれである。

信越本線についてあれこれ書いたが、実は全て道中調べながら来たことである。付け焼き刃であっても、実際に辿ったルートに関する知識に触れられるのが無駄の多い旅路のいいところではないだろうか。

何でもかんでも最短ルートの新幹線や特急を使っているだけでは見えないことはたくさんある(ほとんど特急と新幹線のみで構成されたday4とday11に関しては気にしないで頂きたい)。

群馬県~埼玉県(髙崎~高麗川)

豚入りけんちんそば。この県の名物じゃない気もしたが文化圏的には近い。

髙崎駅では乗り換え待ちが発生していたので、駅の売店を覗いてみたが、時間はもう19時を過ぎていたため峠の釜めしはここにも売っていなかった。ここまでですっかり峠の釜めしを食べるつもりでいたのでお腹が空いている。仕方ないので改札内でけんちんそばを食べた。野菜がゴロゴロホクホクであったかい。

地方の路線はこういうところが多い
高麗川で「こまがわ」とはちょっと読めない

名前には聞いたことがあるが乗ったことのない八高線に乗り、髙崎から埼玉県を通過し八王子に向かう。県境を越えるときに特に処理落ちやローディングが発生する訳でもなく、埼玉県に入り列車は進んでいく。

高麗川駅
ハイキングコースの紹介看板
作者がこの市に長く住んでいた縁で設置されているらしい

高麗川駅で30分程度の乗り換え待ち。正直、埼玉県だから駅前のマックとかなんかそういうところでもあるかなと思っていたがコンビニすらなかった。寒さに耐えながらハイキングコースとマンホールを眺める。

ここは奥武蔵エリアらしい。「奥」とついている時点で都会の喧騒とほ無縁であるからして、駅前にマックやコンビニなんてものは要らないのである。そういうことも、来てみるまでは分からない。路線図や乗り換え案内を穴が空くほど見詰めてみても出て来ない情報が詰まっているこの3枚の写真にこの旅における埼玉県が集約されている(無理矢理)。

東京都(八王子)

都会の駅っぽい

高麗川から東京に出るのは思ったよりすぐだった。八王子もすぐだ。到着は23時前。列車の乗り継ぎさえうまくいけば早く到着できたのだろうが、多少早く着こうともこの後の心配があるので今日はこれ以上進む積もりはない。八王子が今日のゴールだ。

髙崎から八王子に出るならば真っ直ぐ南下する八高線を使わずに埼玉の東側に向かい、新宿を通るルートやその他諸々のルートの方が便利で早く着くことが多いらしい。大都市近郊区間なので、どんな乗り方をしても(一筆書になっていれば)値段は一緒というのも、八高線以外に乗る理由になっまう。

ただ、そういう事実を無視してでも、触れたことのないものに触れるのは良いことだ。今回のような出会いや知見は、普通に大都会の方を経由していたら得られなかったものである。「埼玉から東京都へ移動」と言ったときに、こういうルートもあるんだよ、ということを知れるのは良い。

ただし、次も同じ路線に乗るかは分からない。

「でんでん」ではなく「だだ」だ

流石都会の八王子である。夜中になっても郷土料理を扱うお店が開いている。

この特殊な麺料理は八王子と立川で食べられる

夜中にガツ盛り系ラーメンを食べた、なんていかにも東京らしい想い出ではないか。

まとめ

あとちょっと

5都県通過で44都道府県。もう少しで旅が終わってしまう。明日は乗ったことのない路線を利用する予定なので、トラブルや思わぬ出会いに対してしっかり構えてあたりたい。


このページをかいたひと:藤盛仁輔

ライター。このサイトでは半年で日本二周したときに訪れた場所についてなどをかいています。

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