全都道府県一筆書き day3 和歌山大阪奈良京都兵庫鳥取 20211230

ふと思い立って日本一周をまた試みてしまった。せっかくだから全都道府県一筆書でもしてみよう。そんな旅路の3日目。和歌山~大阪~京都~兵庫~鳥取。

※この投稿は以下の投稿の続きです。合わせて読むとより一層味わいが増すかもしれません。

和歌山県

都会を走りそうな新型の車両

紀州路はすべて山の中である。

紀伊半島の右側、三重と和歌山の県境にある新宮駅を出発した始発列車は、やがて駅でもなんでもない場所で止まった。

「ただいま鹿の撤去のため……少々お待ちください」

鹿の撤去……。

5分ほどして、鹿の「撤去」が完了し列車は運行を再開した。乗り継ぎ予定の駅に到着したのは、乗り継ぎ先の列車の出発時刻よりも後だった。

乗り継ぎに失敗したら特急に乗ってしまおうかとも考えていたが、乗り換え予定の列車はちゃんと待ってくれていた。ぼくが席に座ってしばらくして、列車は出発する。

「乗り換え待ちの列車が鹿と衝撃したためこの列車2分ほど遅れての出発となります」

鹿と衝撃……。

この単語の並びを耳にするのは2回目だ。1回目は昨日、三重から新宮に向かう列車の中で聞いた。乗っていた列車がまさに鹿と「衝撃」して、15分ほど止まってしまったのだ。

ぼくは専門用語に明るくないので、この鹿と衝撃という言い方が普通なのか、その運転士特有の言い回しなのか、そのときは分からなかった。仮にぼくが同じことを表現するならば鹿と「衝突」と言うだろう。

その言葉の使い方が少なくとも紀勢線の中ではスタンダードであるということが1日越しに図らずも分かってしまった。

はじめのアナウンスで「撤去」と言っていたので、何かの理由で鹿が線路に「設置」されていたのかな、とも思っていたが、何のことはない、「衝撃」した上で「撤去」しただけのことだったんだな、などとどうでもいいことを考えているぼくを載せて列車は紀伊半島のだいたい左下らへんにある紀伊田辺駅から和歌山駅に向かっていくのであった。

この路線、2つに1つは駅名に「紀伊」と着いているきいがする

大阪が近付いてきた。

……と書いたものの、やや感覚が鈍ってきている気がする。紀伊田辺から大阪府に入るまでは2時間ちょっとはかかる。新幹線なら東京から京都に着けるような時間だ。

どうやら、昨日の多気(三重)~新宮(和歌山)の乗り換えなし4時間一本勝負で鍛えられてしまったらしい。慣れとは怖いものだ。

行き先欄に大阪環状線と書いてあるので割と困惑する

和歌山駅まで来て乗り換え。地元の人はどういう感覚かは分からないけれど、正直、和歌山駅とかほとんど大阪府だよね。

大阪府

天王寺 向こうに見えるは王子行き

大阪府に入ってから1時間ほど。天王寺に到着。ここでは乗り換え待ちがてら昼休憩をしていく。

少し離れたところに通天閣

天王寺に着いてあべのハルカスよりも前に通天閣を見てしまった。

これがあべのハルカス

近くで見上げると首が痛い。

ハルカスの近くにあるカスヤ
ハルカスの近くで食べるカスうどん

昨日の昼は肉うどん、今日の昼はかすうどん。ここのうどんは麺がけっこうしっかりしてた。

奥もたこ焼き屋に見える(ジャンカラ)
なぜベストをたのまないのか
Your best my best 生きてるんだから失敗なんてメじゃない

デザートのたこ焼き。ソースがないと物足りないって人もいると思うけど、一回はソースなしのベストを食べてみて欲しいところ。たこ焼きそのものの奥深さを感じられると思う。ぼくは次来たらソースありにします。

しっかり観光のようなことをして、立ち去る。「らしい」名物を食べたりしたのは3日目にして初ではないだろうか。滞在はトータル1時間半くらい。

奈良県

奈良なうに使ってもいいよ

天王寺から快速一本で奈良駅へ。

奈良駅で乗り換えて京都駅へ。

なんとびっくり奈良県滞在時間は約42分。石川県の約1時間46分を下回る記録を叩き出してきた。乗り換えをもう少しうまくすると滞在27分も可能だった。42分にしろ、27分にしろ、今のところ最短滞在時間なのは間違いない。予定ルートを考えると、これを下回りそうな都道府県が出てくる可能性があるが、本当に予定通りに移動できる保証もないのでどれくらいの時間になるか楽しみにしておこう。

さておき、奈良。乗り換え待ちに奈良駅の中を軽く見て回っただけになってしまった。

最早執念

改札に入って一番初めに目にする、トップ広告扱いなのがカニ。埋め尽くされている。

ほっとひと息すれば良かった

そして和歌山から脱出したときに忘れていたもうひとつの回りかた。

右から4つめの柘植駅(三重)が昨日、紀勢線に乗る前に寄った駅。

もしもこのルートを使っていたら、三重→(すぐ)→奈良→(良識の範囲内の時間)→和歌山→(すぐ)→大阪→(すぐ)→京都となっていたろう。

実際のルートは、三重→(そこそこ地獄の移動時間)→和歌山→(そこそこ地獄の移動時間)→大阪→(すぐ)→奈良→(すぐ)→京都なのでこれは大幅なロスだ。

ただ、紀伊半島を回って良かったことはたくさんある。鹿と「衝撃」という言葉を学べたこと。そして日の出を見られたことである。

海からの日の出は何ものにも代えがたし

12月30日の日の出である。1月1日の日の出、つまり初日の出と48時間差の日の出ということだ。長い目で見たら48時間なんて誤差みたいなもんなので、つまりぼくは年内のうちに実質初日の出を見たようなものなのである。

より厳密に言うのであれば列車が海沿いをずっと走ってくれるわけではないので、日の出の瞬間を見られたわけではない。だがそんなことは、紀勢線にかかった長い時間からしたら誤差でしかない。

時すらを越えるとは、さすが沿線地域に熊野古道を抱える紀勢線だ。霊験灼かなること限りなしである。効率のみを追及していたら啓かれる蒙も啓かれないのだ。みんな、紀勢線に乗ろう。

京都府

大きなろうそくの下で
年の瀬の京都駅は人がいっぱい

奈良駅からちょっと行ったら京都駅。何も変わりはしないのに、来る度に京都タワーと駅の中を撮ってしまう。

32番線

0番線に停まっている北陸行きの列車を横目に見ながら歩き、行き先案内で聞こえた芦原温泉という地名に恋慕に近い情を抱きつつも、32番線の列車に乗り込む。帰省らしき大荷物を抱えた人も多く、この3日間で、一番混んでいた。

なんやかんやあって福知山

途中の福知山駅は、明智光秀が主人公だった大河ドラマ「麒麟がくる」が放送している真っ最中に来たことがある。当時は至るところに大河のポスターが貼ってあったが、今では一枚も見当たらなかった。

これをどう解釈するかは難しいところだが、さびれた観光地なんかに行くとそういう昔のポスターがいつまでも貼ってあったりするので、福知山的には大河は大河として乗っかるけども、そもそも大河一本で人を呼ぶつもりはない、みたいなことかもしれない。

矜持を感じる。

単純に使用料がかかるとかそういう可能性もあるのだろうけれど。

兵庫県

キィーンキンキンキンキンキーンに冷えてやがる

福知山を出てしばらくするといつの間にか兵庫県に入る。いつの間にか入った兵庫県の、いつの間にか着いた豊岡で乗り換えていつの間にか降りだしたあられの中、西にどんどん進んでいく。兵庫県は残念ながら今回通り抜け対象である。

山手線に轢かれずとも訪れたい(ただしまあまあ遠い)

城崎温泉……カニ……。兵庫県は残念ながら今回通り抜け対象である……。

この区間もまた、山の中である。トンネルに何回も入るので携帯の電波は全くもって安定しない。オフラインで遊べる何かを持って出れば良かった。

とーれとれぴちぴち

ネットも不安定な中ぼんやりしていたらカニが目に飛び込んできた。香住。紅ズワイガニの水揚げ港があるようだ。香住ガニと呼ばれるそれをいつか食べに来たいものである。……兵庫県はっ! 残念ながらっ! 今回っ! 通り抜け対象っ! ……。

もういい、食えないカニに用はねえんだ、早く列車を出してくんなっ、と思ったものの、なかなか出発しない。反対側の列車が鹿と「衝突」したので待ち合わせで遅れるとのことだった。

一日の中で鹿と「衝撃」「衝突」どちらも聞くハメになるとは。思えば、以前豊岡から福知山に向かう列車に乗っていたとき、まさにその列車が熊と「衝突」したことがあった。地域によって「衝突」「衝撃」両方があるのかもしれない。

兵庫県最後の乗り換え駅、浜坂から鳥取に向かう列車は定刻通りに出発した。あとは無事に到着することを祈るのみである。なお、この浜坂駅のある市町村は新温泉町という名前で、駅前には足湯があるらしい。ヒョウゴケンハザンネンナガラコンカイトオリヌケタイショウ……ガガーピー。

鳥取県

雪は残っているしこのあと雪がたくさん降り始めた

今日のゴールは鳥取駅。なんと今回の旅路初の! インターネットカフェのある駅である。別に無理してインターネットカフェで夜を過ごさずとも良いのだけれど、ここまできたら、ねえ。

と、思ったが着いてみたら雪が降ってるわインターネットカフェは駅から地味に遠いわと悪条件が重なったので普通に駅前の宿に飛び込みましたとさ。めでたしめでたし。何事も思いどおりに行くわけではないのが旅の面白いところだ。ただしホテルは快適である。コインランドリーと銭湯をヨソで済まそうとすると、案外リーズナブルだったりもするし。

まとめ

今日新たに通った都道府県は、大阪、奈良、京都、兵庫、鳥取の5つ。初日から通算で13府県。12月28日から1月10日の14日間で47都道府県を回るのであれば、1日あたり3~4都道府県を回ればいい計算ではあるので、3日で13府県はいいペースだ。無事ゴールを目指したい。


このページをかいたひと:藤盛仁輔

ライター。このサイトでは半年で日本二周したときに訪れた場所についてなどをかいています。

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