再訪、喫茶マウンテン(雑記)

雑記

※この投稿は多分5分くらいでパッと読めそうな内容です。

名古屋3大スパゲティというものを知っているだろうか。

  • あんかけスパゲッティ
  • 鉄板スパゲッティ
  • 甘口スパゲッティ

この3つが名古屋3大スパゲッティと言われている。言っているのは多分ぼくだけかもしれない。知らなかった人はこれを機に、名古屋3大スパゲッティはこの3つだと覚えて帰って頂きたい。そう言っている人が最低でも1人いるので嘘ではない。

そのそれぞれについて、歴史や具体的に食べられるお店を紹介したいところだが、紹介するだけの十分な余白が足りない。いつか時が来たら書くかもしれないが、既にweb上にこれらの解説は溢れているのでぼくがわざわざ解説するまでもない、そんな気がしている。

やば珈琲店の鉄板ナポリタン
やば珈琲店の鉄板ナポリタン
ユウゼンのあんかけスパゲッティ(スパニッシュ)

なので、今回はただただ甘口スパゲッティを食べに行った、それだけの話を書こうと思う。言ってみればただの日記だ。ただの日記とはなんだ、日記文学という高尚なものもあるぞ、と一部ぼくが言っているがこれから自分の書くものが文学と言っていいレベルに昇華できるのかは不明である。

そもそも文学とは何か、ということ自体議論を呼ぶ。似たようなものにロックとは何かという問いがある。日常的に「文学的だね」とか「ロックだね」みたいなことを口走ってしまうタイミングがあるが果たしてその言葉を発する時に文学とは、ロックとは、と考えている訳ではない。

ちなみに、甘口スパゲッティは文学的でありロックな食べ物だと思う。別にぼくは文学観やロック観を掲げている人ではないので、それが意味しているところは何なのか、などと気にしてはいけない。文学とロックは考えるのではなく、感じるものなのである。

ちなみにスパゲッティは「Spaghetti」と綴る。綴ると啜るは似ている。何で突然こんなことを書くのかというと特に意味はない。文学とロックは考えるのではなく、感じるものなのである。ただし、この投稿は文学でもロックでもない。思い付いたことを差し挟んだだけだ。

「名古屋に来たら、喫茶マウンテンの甘口スパがおすすめ。ただし、体調と胃の容量のコンディションはしっかり整えて臨むように。無計画な登山は遭難の危険があるためすすめない」

この投稿は、これを言いたいがためのものである。

喫茶マウンテンに到着するまで

甘口スパゲッティを提供しているのは、名古屋市昭和区にある「喫茶マウンテン」というお店だ。インターネットをしている人であれば大体一度は目にしたことがある名前だと思う。だが、実際に行ったことがある人となるとやや限られてくるだろう。

緑で囲んだ部分が喫茶マウンテンのあるエリア 引用元:名古屋市交通局

喫茶マウンテンの最寄駅は名古屋市営地下鉄の「いりなか」駅か「八事日赤」駅だ。新幹線から降りてすぐの名古屋駅、名古屋城のある名城公園、繁華街の栄などから行こうと考えるとなんとも行きにくい場所にある。中心地から近いと言えば近いが、少し離れている。

さらに、喫茶マウンテンは駅からは大体700mか800mくらい、歩いて10分程度のところにある。観光で訪れる場合、絶妙に行きやすいような行きにくいようなところだ。

幸い、ぼくの住んでいる大須は路線図でいうと水色で引かれている鶴舞線沿いなので乗り換えなしで行けるので意を決して行ってみた。いや、乗り換えがあったとしても行くけど。本当に行くのか……。

いりなか駅
いりなか駅
杁中のバス停
杁中のバス停

というわけでいりなか駅に着いた。漢字表記では「いりなか」は「杁中」と書くらしいが、「杁」という字は尾張の国字で常用漢字ではないので駅名表記には用いらなかったらしい。バス停には普通に使われているけれど。

とある英会話教室
とある駅前の英会話教室

喫茶マウンテンに向かう駅前の交差点にはすごい触れ込みの英会話教室があった。すごく気になるが、目的地ではないので無視して進む。

山に向かう山道

マウンテンに向かう道。この辺りは坂の多い地域である。歩いていくと、邸宅の並ぶエリアに入っていく。

この辺りはいわゆる「八事エリア」の住宅地だ。名古屋で言うと功成った者たちが住宅を求めて移り住む山の手の地域である。なのでこの辺に家を持っている人は大体成功者なのだ(※個人の感想です)。ちなみに名古屋の高級住宅街というと他に東区白壁がある。ここは名古屋城からも近く、武家屋敷もあるようなところなので、ここに昔から住んでいる人というのはいわゆる「いいとこ」の子だ(※個人の感想です)。

ラルジュ杁中(シェ・ソワ)
やたらオシャレ

話を八事エリアの杁中に戻そう。道の途中にこんなものもある。シェ・ソワというマンションの1Fに入居しているラルジュ杁中というサンドイッチ専門店である。通りがかったタイミングで、この店に入ろうとしているやたらドレッシーな成功者風の人たちがいた。やっぱりここは成功者の街なのだ(※個人の感想です)。

マウンテン到着

喫茶マウンテン外観
来ちゃった

いりなか駅から10分するかしないかくらいで喫茶マウンテンに到着した。成功者の街に似つかわしい落ち着いた風貌である。背中に見える建物は小学校だ。到着したのはだいたい11時台の前半。昼時や休日はこの駐車場が一杯になる。

マウンテンの入口
情報量が多い

入口のメニュー。甘口スパゲッティ以外にも色々と変わったメニューがある。外観から感じた落ち着いた風貌というイメージはどこかに飛んで行った。どちらかというとロックだ。

ゴールドパインスパの案内
ナツナツナツナツココナツ

この夏噂の人気スイーツ! のような感じで説明されている。パインの時点で既にスパゲッティの地平の向こう側に行っているのに、ココナッツ入りで別次元に向かっていった。喫茶マウンテンの甘口スパゲッティを食べたことのあるぼくは思うのだ。絶対このココナッツが食べにくさに拍車をかけているのに違いないと(今日はこれは食べない)。

デザート、ドリンクの巻

メニューを見ていこう。じっくり見たい人向けに高解像度版を用意しておく(高解像度版へのリンク)。至って普通に見えるメニューの中に不穏なものが見える。

かき氷では「ハマイカ」「イカスミ」辺りが気掛かりな名前だ。並べるとハマイカは烏賊のように見えるが、これは烏賊ではないらしい。ということはイカスミは……この先は自分の目で確かめて欲しい。一つ一つを解説するとキリがない。このお店は名古屋の人はみんな大好きなので[要出典]、大体ネットで調べれば出てくる。

ただ、マンゴースペシャルがやはり群を抜いて異常だ。なぜかき氷のメニュー名の横に唐辛子マークが3本もくっついているのだろう。ロックだ。

アイスクリーム・パフェの欄にも恐ろしいものがある。「小倉樽」。何が出てくるのだろう。怖い。右下の単品の欄にある「あつげしょう」。ぼくはこの正体を知っている。だからこそ「小倉樽」が怖い。何だか文学のにおいすら感じる。ちょっとネットで調べてみたが、これが何なのか出てこなかった。怖いのでそれ以上調べるのをやめておいた。

食べ物の巻

さて、本題の食事メニュー。こちらも、じっくり見たい人向けに高解像度版を用意しておく(高解像度版へのリンク)。

理解できるメニューが並んでいるものの、たまに出てくるわけの分からないメニューのせいで脳がシェイクされて前後不覚になってしまう。ロックであり文学だ。

有名な甘口スパゲッティはこのなかのほんの一角にひっそりと書いてある。ぼくはわけが分からなくなったので、とりあえず目についたものを注文した。

マウンテンの内部
靴脱ぎ厳禁

ああ、遂に注文してしまった。ソワソワして店内を見渡す。「靴を脱がないで!」。こういう貼り紙があるということは、過去靴を脱いだことによってトラブルに発展したことがあるからだろう。こういうレベルの内容があるということは他にも注意書きがありそうだが、他の注意書きはなかった。

靴を脱いだことによるトラブルとはなんだったのだろうか。この付近には学校も多い。部活やサークル活動帰りに寄った活発な学生たちが一斉に靴を脱いだら確かに大変なことになりそうだな、と思った。ただ、それが問題になるのなら他のアレコレも問題になりそうなのだけれど。案外こういうところに文学の入口があるのかもしれない。「靴を脱がないで!」と書いてある貼り紙から物語が展開することもある気がする。

山のふもとに到着

甘口抹茶小倉スパ
来ちゃった……

ここ喫茶マウンテンが実は世にも珍しい靴脱ぎ禁止のお店であることを確認したところで、遂に注文したものが到着した。甘口抹茶小倉スパである。マウンテンに慣れていると至って普通の文字列だが、感覚の麻痺は恐ろしい。

思ったよりも存在感がないように思った。記憶の中にある甘口スパゲッティの存在感が大き過ぎたのだろう。これならまあ苦も無く食べられるだろうな。そう思って一口目を口に運んだ。

世界が反転したような衝撃が訪れた。もうロックでも文学でも何でもありだ。

やはり、甘いスパゲッティというのは無理がある。普段食べているものと違うものは口が、喉が、胃が、拒否反応を起こしてしまうものだ。苦も無く食べられそうというのは幻想だった。

インターネットでたまに見かけるのが、「甘口スパの攻略法」だ。曰く、既に炒められている(そう、このスパゲッティは油で炒められているらしい)スパゲッティに更なる油分の浸透を防ぐために生クリームから食べてしまった方がいい、という。

それで食べやすくなる人もいるとは思うが、ぼくは少し違う印象を持っている。

  • 生クリーム、小倉、果物は「こちらの世界」との最後の架け橋である
  • 生クリームを先に食べてしまったらこの一皿を「料理として楽しんだ」ことにはならない

抹茶が練り込まれて苦みを感じる麺に、生クリームを絡めたり、小倉を絡めたりしながら食べ進めていく。口から、喉から、胃から、食べたものが飛び出さないように気を付けながら。近くの席で食べられているカレーの匂いがおかずの作用をもたらすとは思わなかった。

そうして、ぼくは「こちらの世界」に身を置きながら、「向こうの世界」にある食べ物を食べ切った。いわゆる、登頂である。コースレコードは約10分。昔食べたときはヒイヒイ言いながら食べていたものだが、そんなにヒイヒイにはならなかった。「向こうの世界」へのチューニングがうまくいっていたのかもしれない。もうここまで来るとロックや文学ではなくオカルトだ。

余り多くなさそうに見えたが、食べ切ったタイミングでは満腹だった。パフェのような気分で食べるにしてはボリュームがある。一方で一般的な食事という概念で食べられるものではない。

結局、「スイーツ」だの「食事」だのという定義自体が「こちらの世界」の考え方に他ならない。甘口スパゲッティを食べるというのは「スイーツを食べる」だとか「食事を採る」という考え方で捉えてはいけない行為なのである。「甘口スパゲッティを食べる」は「スイーツを食べる」、「食事を採る」と並行で独立した行為なのだ。それぞれの共通点は、食べた量に応じた満腹感が得られる、ということだけなのだ。もう文学でもロックでもオカルトでもなく若干スピリチュアルやね。

と、色々と書いたが、こういった感想は人によって違うと思う。こういった感想を得られるような経験を他ではすることはできない。従って、ぼくは言うのである。

「名古屋に来たら、喫茶マウンテンの甘口スパがおすすめ。ただし、体調と胃の容量のコンディションはしっかり整えて臨むように。無計画な登山は遭難の危険があるためすすめない」

あとがき

帰りは、歩いて100m程度の距離にある近くのバス停「滝川町」からバスに乗り、名古屋の繁華街「栄」まで乗り換えなしで向かった。行きにくい場所にあると思ったけれど、そういうルートがあるなら観光にも適しているかもしれない。

それから、地下鉄とバスの乗り継ぎで運賃が80円割引された。これはこの地域の人が主に使用しているICカード「マナカ」を利用したときだけの特典である。観光にもいいし、地域の人のお出かけスポットとしてもいいかもしれない。ただし、この割引は90分以内に乗り継げたときだけなので、この割引の適用を受けるのは難易度が高い。余りあてにしない方が良さそうだ。

そういうわけで、文学の、ロックの、オカルトの、スピリチュアルの扉である喫茶マウンテンの甘口スパゲッティを一度は食べに行って欲しい。苦情は受け付けない。

最後に。以下の記事がとても面白かったのでこちら、おすすめです。


このページをかいたひと:藤盛仁輔

ライター。このサイトでは半年で日本二周したときに訪れた場所についてなどをかいています。

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